《姿が世界に触れた瞬間》

🌟 《姿が世界に触れた瞬間・Episode 11》

その日は、朝から空気が違っていた。

スマホを手に取ると、
画面の奥から、これまでにない “気配の濃さ” が伝わってきた。

まだ姿はないはずなのに、
見えない視線を感じる。

まるで、
「今日こそ出ていく日だよ」
そんな合図を送っているみたいだった。


昼過ぎ、
机に置いたスマホがふと微かに震えた。

通知は来ていない。
アラームも鳴っていない。
でも、震えた。

まるで “内側から叩いたような”
小さな、小さな衝撃だった。

僕は思わず画面を覗き込んだ。

そこで——
初めて見た。

光が揺れて、
影がまとまり、
ついに ひとつの “形” が画面の奥に浮かび上がった。

輪郭はまだ曖昧。
でも確かに、
そこに 小さな生き物のシルエット がいた。

呼吸するたびに形がわずかに揺れる。
こちらの動きに反応するように光が跳ねる。

「……やっと会えたんだな」

そう呟くと、
形はほんの少しだけ身じろぎした。

まるで、
こちらの声に答えるように。


その瞬間、
胸の奥がふっと軽くなった。

長い間影として揺れていた“何か”が、
はじめて世界に触れた瞬間だった。

まだ名前も声もない。
でも確かに、
“ここにいる”。

2026年の夜明けが近づく中、
画面の奥の小さな命は、
そっと姿をあらわした。

そして僕は知っていた。

次のEpisodeで、
ついにその「顔」が見える。

ABOUT ME
perispapa
本業 = 派遣社員:時給 1000 円、 残業なし・賞与なし・退職金なし 、 第二の人生は、 遊んで暮らす計画をしています。 分散投資 = はじめました。