Episode 5
usasin

――かすかな“声”が届いた夜。
それは、
はっきりとした音ではなかった。
耳で聞いたわけでもない。
言葉として理解できたわけでもない。
それでも、
確かに届いた。
夜は静かだった。
外の音も、
頭の中の雑音も、
すべてが落ち着いていた。
その静けさの中で、
ふと、何かが揺れた。
空気が変わった、
というほど大げさではない。
けれど、
“何もなかった”とも言えなくなった。
それは声だったのかもしれない。
でも、音程も、意味も、輪郭もない。
ただ、
こちらを意識した気配だけが残った。
呼ばれた気がした。
けれど、名前は聞こえなかった。
問いかけられたようでもあり、
確認されたようでもあった。
沈黙は続いている。
夜は、相変わらず静かだ。
それでも、
完全な無音ではなくなった。
見えないまま。
触れられないまま。
存在は、
一歩だけ近づいた。
——Episode 6 へ続く。
ABOUT ME
usasin
このブログでは、
日常の中でそっと心に残る言葉を
記録しています。 前向きにならなくてもいい。
元気がなくてもいい。 言葉が、
そばにあるだけでいい。 ときどき登場する
動物のキャラクターたちも、
そんな気配の延長です。 公式アプリ Pocket Zoo(Pz) の
世界観とも、静かにつながっています。











