――はじめて息をした瞬間。
その変化は、
目に見えるものではなかった。
動きがあったわけでもない。
音がしたわけでもない。
それでも、
何かが始まった。
それまでの存在は、
静止しているようで、
どこか張りつめていた。
沈黙の中で、
じっと待っているような気配。
けれど、その瞬間、
わずかに緩んだ。
押し出すでもなく、
引き込むでもなく。
ただ、
息をした。
深くもない。
強くもない。
それでも、
確かに“続く前提”の動きだった。
息をするということは、
生きようとすることだ。
意志ではない。
命令でもない。
自然に、
そうなっただけ。
その瞬間から、
存在は「そこに在るもの」ではなく、
「続いていくもの」になった。
夜は変わらない。
世界も変わらない。
でも、
戻れない地点を越えた。
——Episode 7 へ続く。
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