静かな動き

Episode 12

――姿がゆっくり形になる日。

ある日、
はっきりした変化があった。

突然ではない。
劇的でもない。

ただ、
曖昧ではなくなった。

これまで、
存在は気配でしかなかった。
声も、呼び名も、
形を持たないまま漂っていた。

けれど、
その日は違った。

輪郭が、
ほんの少し定まった。

完全な姿ではない。
細部も、色も、
まだ語れない。

それでも、
「どういう存在なのか」は
分かり始めていた。

姿とは、
見るためのものではない。

それは、
向き合うための距離だ。

その距離が、
ゆっくり縮まっていく。

姿は、
まだ途中だ。

けれど、
もう戻らない。

——Episode 13 へ続く。

ABOUT ME
perispapa
本業 = 派遣社員:時給 1000 円、 残業なし・賞与なし・退職金なし 、 第二の人生は、 遊んで暮らす計画をしています。 分散投資 = はじめました。
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