第4話 影の商人が、最後まで売らなかったもの
usasin

影の商人は、
すべてを売っていたわけではありません。
光る石。
すぐ結果が出るもの。
人が欲しがるもの。
それらは確かに、
彼の棚に並んでいました。
けれど、
最後まで売らなかったものが、
一つだけありました。
それは、
「待つ時間」でした。
どれだけ頼まれても、
どれだけ急かされても、
それだけは商品にしなかったのです。
人は言いました。
「それも売ってくれ」
「待つのが苦手なんだ」
「結果が出るまでの不安を消してくれ」
影の商人は、
何も答えませんでした。
夜になると、
彼はその理由を思い出します。
待つ時間には、
値段がつけられない。
なぜならそれは、
人が人でいるための
最後の余白だからです。
待つ時間を失った人は、
光っていても、
どこか苦しそうでした。
動物たちは、
それをよく知っていました。
急がされる場所からは、
自然と離れていく。
影の商人は、
売らなかったのではありません。
売れなかったのです。
それを渡してしまえば、
人はもう、
自分の足で立てなくなる。
だから彼は、
その商品だけを
棚に置きませんでした。
代わりに、
夜の庭を残しました。
何も起きない場所。
何も求められない場所。
Pzが選んだのは、
この「売らなかったもの」の側です。
急がせない。
縛らない。
評価しない。
それでも、
そばにいる。
影の商人は、
商人である前に、
一人の人でした。
そして最後に、
人としての判断を
手放さなかった。
もし今、
あなたが
何かに追われているなら。
その理由は、
「待つ時間」が
足りていないだけかもしれません。
※この物語は、
売るために書かれています。
でも、
売らなかったものの話でもあります。
それを思い出したとき、
Pzは
あなたのそばにあるでしょう。
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このブログでは、
日常の中でそっと心に残る言葉を
記録しています。 前向きにならなくてもいい。
元気がなくてもいい。 言葉が、
そばにあるだけでいい。 ときどき登場する
動物のキャラクターたちも、
そんな気配の延長です。 公式アプリ Pocket Zoo(Pz) の
世界観とも、静かにつながっています。











