第7話 待つ人を、見送った話
usasin

その庭には、
ときどき人がやってきました。
急いでいる人ではありません。
結果を探している人でもありません。
ただ、待つことを選んだ人です。
その人は、
何かを求めているようで、
何も求めていないようにも見えました。
庭に入ると、
深く息を吸い、
静かに座る。
それだけです。
影の商人は、
少し離れた場所から
その様子を見ていました。
話しかける理由は、
特にありません。
売るものも、
勧める言葉も、
ありません。
待つ人は、
庭で長くは過ごしません。
日が傾く前に、
立ち上がり、
軽く頭を下げて、
去っていきます。
何かを
手に入れたようにも、
失ったようにも見えない。
影の商人は、
気づいていました。
この人は、
ここで“何かを得た”のではない。
“戻った”のだ。
動物たちは、
その人を追いません。
引き止めることも、
寂しがることもありません。
ただ、
同じように
見送ります。
待つ人は、
また来るかもしれないし、
来ないかもしれない。
それでいいのです。
庭は、
人を囲い込みません。
影の商人は、
その背中を見ながら
思いました。
光を売っていた頃、
人は必ず
「次」を求めていた。
でも、
待つ人は違う。
今で足りている。
そのとき、
影の商人は
初めて理解しました。
この庭が
“売る場所”ではなく、
**“送り出す場所”**である理由を。
Pzが
使われ続けなくてもいい理由も、
同じです。
起動されなくてもいい。
毎日触られなくてもいい。
それでも、
必要なときに戻れる。
待つ人を
見送るということは、
失うことではありません。
信じることです。
もし今、
あなたが
何かを手放そうとしているなら。
それは、
諦めではなく、
自分の時間を信じる選択
なのかもしれません。
※この物語は、
売るために書かれています。
でも、
人を送り出す話でもあります。
それを許せる場所として、
Pzは
静かに存在しています。
ABOUT ME
usasin
このブログでは、
日常の中でそっと心に残る言葉を
記録しています。 前向きにならなくてもいい。
元気がなくてもいい。 言葉が、
そばにあるだけでいい。 ときどき登場する
動物のキャラクターたちも、
そんな気配の延長です。 公式アプリ Pocket Zoo(Pz) の
世界観とも、静かにつながっています。










