その石は、
最後まで光りませんでした。

誰かの目を引くことも、
評価されることもなく、
棚の奥に置かれたまま。


影の商人は、
その石を
売ろうとしませんでした。

理由は、
特別なものではありません。

売る理由が、
見つからなかった
のです。


光らない石は、
説明ができません。

すぐに結果が出るわけでも、
使い道があるわけでもない。

だから、
欲しがる人も
現れませんでした。


それでも、
その石は
庭から消えません。

夜になると、
月明かりに照らされ、
ただ、
そこにある。


動物たちは、
その石のそばで
眠ることがありました。

踏みつけるでもなく、
避けるでもなく、
特別扱いもしない。


影の商人は、
それを見て
気づきました。

この石は、
選ばれなかったのではない。

選ぶ必要が、
なかったのだ。


光らない石は、
何も主張しません。

「役に立つ」とも
「価値がある」とも
言わない。

それでも、
そこに在ることで、
空気を変えていました。


影の商人は、
そっとその石を
庭の中央に置きました。

目立つ場所ではありません。
でも、
邪魔にもならない場所。


そこから、
庭の空気は
少しだけ変わりました。

急ぐ人は
長く居られず、
待つ人は
自然と足を止める。


影の商人は、
確信しました。

光らない石こそ、
この庭に
必要だったのだと。


Pzが
“何もしない存在”である理由も、
同じです。

光らなくていい。
注目されなくていい。
評価されなくていい。

それでも、
そこに在ることで、
人を選びます。


もし今、
あなたが
誰にも気づかれていない
何かを抱えているなら。

それは、
間違いではありません。

光らなくても、
必要なものはある。


※この物語は、
売るために書かれています。

でも、
選ばれなかったものの
その後の話でもあります。

それを受け入れる場所として、
Pzは
静かに存在しています。

ABOUT ME
usasin
このブログでは、 日常の中でそっと心に残る言葉を 記録しています。 前向きにならなくてもいい。 元気がなくてもいい。 言葉が、 そばにあるだけでいい。 ときどき登場する 動物のキャラクターたちも、 そんな気配の延長です。 公式アプリ Pocket Zoo(Pz) の 世界観とも、静かにつながっています。