言葉の果実、心の味
usasin

16の言語が響く土壌を耕し始めてから数週間が経ったある朝、庭に見たこともない不思議な木が一本、真っ白な花を咲かせました。そして夕暮れ時、その花はキラキラと輝く虹色の実をつけました。
「これは何の果実だい?」旅人が尋ねると、庭師は一つをもぎって手渡しました。 「これは『言葉の果実』です。食べてみてください。あなたが必要としている味がするはずですよ」
旅人が恐る恐るその実をかじると、口の中に不思議な感覚が広がりました。 最初は甘く、次にほんの少しの苦味、そして最後には、まるでお母さんに抱きしめられているような、温かくて懐かしい風味が胸いっぱいに満たされたのです。
「……不思議だ。ただの果実なのに、昔誰かにかけてもらった『大丈夫だよ』っていう言葉を思い出したよ」 旅人の目から、一粒の涙がこぼれました。
庭師は静かに語りかけました。 「言葉には、栄養があるんです。私たちは16の言語で土を耕してきました。それは、世界中のどんな人がここを訪れても、その人の心にぴったり合う『味』を届けたかったからです」
ふと見ると、庭の隅でペリ(猫)とテツ(犬)も、落ちた果実を仲良く分け合っていました。彼らには、言葉を超えた「優しさの味」が伝わっているようでした。
「庭師さん、この果実を、僕の故郷の人たちにも届けたい。あそこには、心の乾いた人がたくさんいるんだ」 旅人の提案に、庭師は深く頷きました。 「ええ、それがこの庭(Pz)が存在する理由ですから。さあ、一緒に収穫を始めましょう」
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このブログでは、
日常の中でそっと心に残る言葉を
記録しています。 前向きにならなくてもいい。
元気がなくてもいい。 言葉が、
そばにあるだけでいい。 ときどき登場する
動物のキャラクターたちも、
そんな気配の延長です。 公式アプリ Pocket Zoo(Pz) の
世界観とも、静かにつながっています。










