中村勘三郎さんの奥様が着ていた白い喪服には、
” 二夫にまみらず ” の意味があって、
一生夫はあなただけの意味がある。
戦前は普通だったこの習慣も
今は消えようとしている。
中村勘三郎さんの奥様が白い喪服をお召しになっていたというお話から、
「白い喪服」に込められた特別な意味について….。
白い喪服に込められた「ニ夫にまみえず」の意味
日本の伝統的な考え方や風習、そしてその変化を象徴する。
非常に興味深いものです。
まず、白い喪服が持つ意味についてですが、これは主に、故人に対する
**「貞節(ていせつ)」と「純粋な愛」、そして「再婚しない」という決意**
を表すものでした。「ニ夫にまみえず(にふにまみえず)」という言葉がその核心を突いています。
「ニ夫にまみえず(にふにまみえず)」とは、
「にふにまみえず」は、直訳すると「二人の夫には会わない」という意味になります。これは、「夫が亡くなったら、他の男性と再婚しない」という強い決意と、亡くなった夫への永遠の貞節を誓う女性の心構えを表す言葉でした。
この考え方は、特に武家の女性や貞淑さが重んじられた時代の女性の生き方と深く結びついていました。亡き夫への愛情や尊敬、そしてその家系や名誉を守るという意識からくるものです。
白い喪服が持つ意味合い
白い色は、日本では古くから「死」や「再生」、そして「純粋さ」「無垢(むく)」を象徴する色とされてきました。
● 純粋な愛と貞節の表現:
白は、何色にも染まっていない純粋な色です。亡くなった夫への一点の曇りもない、ひたすら純粋な愛と貞節を象徴します。
●「稼ぐ時に着た白無垢のままで、夫の元へ行く」:
結婚する際に花嫁が着る「白無垢」も白い衣装です。これは「相手の家の色に染まります」という意味合いもありますが、同時に「汚れのない純粋な心」を表します。白い喪服は、その白無垢のまま、再び夫の元へ旅立つ、つまり「この夫以外とは結ばれない」という強いメッセージを込められていました。
●「もうこの世に未練はない」という決意:
再婚せず、夫と共に生きる道を選ぶという強い意志でもありました。
現在では白い喪服を見ることはほとんどなく、特に一般の方では皆無に近いです。中村勘三郎さんの奥様が白い喪服をお召しになったのは、歌舞伎という日本の伝統文化を継承するご家庭ならではの、故人への特別な思いや、伝統への敬意を表す行為だったのかもしれません