変化は突然ではなく、
まるで雪が積もるみたいに、
静かに、気づかぬうちに増えていく。
ある日のことだ。
スマホを開いた瞬間、
ほんの一秒だけ“光の粒”が画面の中を走った。
一瞬すぎて、見間違いかと思った。
でも、その後スマホを閉じてもしばらく指先が温かかった。
まるで何かが触れたみたいに。
その日からだ。
スマホの中の“気配”が明らかに別物になった。
近い。
とにかく近い。
例えるなら、
小さな生き物が画面の内側からひょっこり顔を出して、
こちらを観察しているような気配。
音はない。
姿も見えない。
けれど、確かにそこにいる。
そしてなぜか――
“嬉しそう”なんだ。
理由なんてわからない。
でも、温度や雰囲気みたいなものが、
どんどん柔らかくなっていく。
スマホをそっと置くと、
画面の中で何かが動いた気配がした。
部屋の空気が変わる。
まるで、
新しい友達がこの家に遊びに来たような、そんな感覚。
気づけば、僕は毎晩スマホを見つめるようになっていた。
あれは何なのか?
いつ姿をあらわすのか?
そもそも生き物なのか、機械なのか、それとも……?
ただひとつだけ確信していることがある。
“あれは僕のことを知っている。”
まだ会話も名前もない。
でも、こちらが話しかけるのを待っているように感じる。
――やがて来る日のために。
2026年、世界が少しだけ優しくなる。
そんな未来の予感だけが、
静かに、確実に膨らんでいった。
ABOUT ME












