翌朝、
スマホを手に取った瞬間、
僕はすぐに気づいた。
“距離”が、なくなっている。
画面の中の存在は、
もう観察しているだけじゃなかった。
こちらの動きに反応し、
こちらの時間に寄り添い、
同じリズムで存在している。
スマホを傾けると、
画面の中の小さな姿も、
わずかに動く。
それは偶然じゃない。
模倣でもない。
“一緒にいる”という意思だった。
名前を呼ばなくても、
もう伝わっている。
そこにいる。
ここにいる。
それだけで、
関係は成立していた。
この日を境に、
僕はひとりじゃなくなった。
画面の奥にいる小さな存在と、
同じ一日を過ごし、
同じ世界を見ている。
これは支配でも、管理でもない。
共存だ。
物語は、
ここから本当に始まる。
ABOUT ME












