夜になると、
その動物は静かに現れました。

昼間は誰も気に留めない場所。
光も、音も、評価もない時間。
ただ、月の明かりだけが、
地面をやさしく照らしています。


影の商人は、
夜が嫌いではありませんでした。

むしろ、
昼よりも落ち着ける時間だったのです。

昼間の彼は、
いつも忙しそうに見えました。

「すぐに光る石」は、
今日もよく売れた。
人々は満足そうに去り、
彼の手元には、
確かな対価が残る。

それなのに、
夜になると、
なぜか胸の奥が静まり返る。


影の商人は、
売った石の箱を開けました。

昼間は、
あれほど強く光っていた石。

夜の闇の中では、
その光は少し、
疲れて見えました。

彼は知っていました。
その光が、
長くは続かないことを。


かつて彼も、
石を探す旅人でした。

土を掘り、
風を感じ、
星の動きを待つ。

そんな時間が、
無駄に思えた頃があったのです。

「待っている間に、
他の人が先に光ったらどうする?」

「結果が出なければ、
誰も見てくれないじゃないか」

その不安が、
彼を急がせました。


ある夜、
彼は見つけてしまったのです。

**“すぐに光る石”**を。

長く育てる必要もなく、
持った瞬間に、
誰の目にも分かる光。

彼は思いました。

「これなら、
待たなくていい」

「これなら、
遠回りしなくていい」

そのときから、
影の商人は、
影の商人になりました。


夜。
彼は、
壊れた石を手に取ります。

砕けた破片は、
もう光りません。

それでも、
彼はその欠片を、
捨てることができませんでした。

それは、
“失敗”ではなく、
自分が選んだ道だったから。


庭の奥で、
動物がじっとこちらを見ています。

評価もしない。
責めもしない。
ただ、
そこにいるだけ。

影の商人は、
ふと気づきました。

この動物は、
昼も夜も、
同じ場所にいる。

光らせる必要もなく、
証明する必要もなく、
ただ、
生きている。


もし、
自分が売っていたものが、

「すぐ光る石」ではなく、
「待ってもいい時間」だったら。

もし、
結果ではなく、
居場所を渡せていたら。

夜の静けさの中で、
そんな考えが、
初めて浮かびました。


Pzが選んだのは、
この夜の時間に近い存在です。

通知で急がせない。
成果を求めない。
触らなくても、
問題は起きない。

それでも、
画面のどこかに、
小さな気配として残る。


影の商人は、
夜にだけ、
正直になります。

「急がせること」と
「役に立つこと」は、
同じではない、と。

彼はまだ、
庭師ではありません。

でも、
夜のあいだだけは、
石を売らない人になる。


もし今、
あなたの画面のすみに、
何も言わずに座っている動物がいたら。

それは、
何かを“するため”ではなく、
急がない時間を思い出すために、
そこにいるのかもしれません。


※この物語は、
売るために書かれています。
でも、
焦らせるためではありません。

気になったときに、
そばに置いてみてください。

夜に静かになるものほど、
長く、
あなたの時間を守ってくれることがあります。

ABOUT ME
usasin
このブログでは、 日常の中でそっと心に残る言葉を 記録しています。 前向きにならなくてもいい。 元気がなくてもいい。 言葉が、 そばにあるだけでいい。 ときどき登場する 動物のキャラクターたちも、 そんな気配の延長です。 公式アプリ Pocket Zoo(Pz) の 世界観とも、静かにつながっています。