決してありませんが、
それでも、私たちは死ぬまで
人を愛さずにはいられません。
それが人間なのです。
もし、人より素晴らしい世界を見よう
そこにある宝にめぐり逢おうとするなら
どうしたって危険な道、恐い道を
歩かねばなりません。
そういう道を求めて歩くのが
才能に賭ける人の心構えなのです。
人間は生まれた時から一人で生まれ
死ぬ時も一人で死んでゆきます。
孤独は人間の本性なのです。
だからこそ、ひとは
他の人を求め、愛し、肌で
あたため合いたいのです。
人生にはいろいろなことがあります。
しかし、悲しいことは忘れ、辛いことは
じっと耐え忍んでいきましょう。
それがこの四苦八苦の世を生きる
唯一の方法ではないかと思います。
人間は自分本位なこともありますが
相手の立場に立ってモノを考えれば
人間は他者のために
どんなことでもできるのです。
人は、不幸のときは一を十にも思い
幸福のときは当たり前のようにそれに
馴れて、十を一のように思います。
どんな悲しみや苦しみも
必ず歳月が癒してくれます。
そのことを京都では、
『 日にち薬(ひにちぐすり)』
と呼びます。
時間こそが心の傷の妙薬なのです。
大きな椿の花を咲かせるには
どうすると思いますか?
まだつぼみが小さいうちに
ひとつだけを残して
みな摘んでしまうのです。
そうすれば、大輪の花を
咲かせることができるのです。
お子さんに
「 何のために生きるの? 」
と聞かれたら
「 誰かを幸せにするために生きるのよ 」
と答えてあげて下さい。
一日に一回は鏡を見る方がいいです。
できればにっこりと笑ってみて下さい。
心にわだかまりがない時は
表情がいきいきしてくるでしょう。
あなたはたったひとつの尊い命をもって
この世に生まれた、大切な存在です。
瀬戸内寂聴さん