私は山登りを通して
苦しみには3つ特徴があることに気づきました。
1つは、
「 苦しみと闘おうとすればするほど
その苦しみは大きくなっていく 」
もう1つは、
「 苦しみから逃げても
どこまで追ってくる 」ということです。
人間の身体器官の中で
酸素の使用量が一番多いのが脳だといわれています
そのため、苦しい時に焦ったり
熱(いき)り立ったりすると
脳がどんどん酸素を消費しています。
7500メートル以上の世界では、
少ない酸素をいかに無駄なく取り入れるかが大切なので
体力的に、精神的に、本当に苦しい時に
あえてそこで「 ありがとう 」と言いながら登るんです。
そうやって苦しみを受け入れると
不思議と心が落ち着いてきて
無駄な酸素を使わずに山を登ることができるんです。
そして特徴の3つ目は、
「 苦しみは必ず喜びに変わる 」ということ
例えば
高尾山のような低い山は簡単に登れてしまうので
登頂してもあまり感動は沸いてきません。
しかし
8000メートル峰を登頂した時は
それまでの苦しみが大きい分
得られる達成感も半端じゃない
苦しみの分だけ、喜びがある
だから
苦しみは決して悪いものじゃないと考えています。
信条としてきたことはいろいろとありますが
まず「 一歩を踏み出す 」こと
そして「 諦めない 」ということが
私の生きる姿勢かもしれません。
山登りでは1歩を踏み出さないと
頂上にはいけません
登山に限らず
地上のいろいろなチャレンジにおいても
「 できる 」「 できない 」と考える前に
まずはやってみることが大切だと思うんです。
私がエベレストを登頂できずに
下山して帰ってくると
周りからは「 失敗した 」って言われるんです。
でもそれはちょっと違います
成功の反対は失敗ではなく
本当の失敗とは「 何もしないこと 」です。
私は山登りを通して
挑戦し続けていく先に
必ずや登頂や成功があるのだと確信しています。
だからこそ
諦めないことの大切さを伝えていきたいと思っています。
” 終わらなき頂上への挑戦 ” より