『 伸びる人・伸びない人の差 』
はっきりいって、頭が悪いのはダメですね。
学校の勉強じゃないですよ。
１を言って１０を知るじゃないけど、
コーチがいま何を考えているか、
きょうは何を練習したらいいかとか、
こちらが何も言わなくても察することができる。
そういう勘がいい子は伸びますね。
私の場合、チャンピオンにするとか、
メダリストにするとか、
実はそれほど興味がないんです。
うちに習いに来て、３しか能力がない子を
５とか７とかにすることはできても、
もともと１０の才能を持っている天才には叶わない。
五輪に出てくる天才的に努力をして、
なれない人がほとんどなんですよ。
その天才たちがさらに天才的に努力をして、
やっとメダルに手が届くかどうか。
そういう厳しい世界です。
世界の頂点に立てるのは天才の中の超天才だけ。
たまたま伊藤みどりさんや浅田真央さんはなれましたけど
なれない人がほとんどなんですよ。
そりゃ私も2番より１番のほうがいいですよ。
でも、たとえ５番でも、みんなから
「 あの子、いい子だったね 」
「 あの人の演技って素敵だったよね 」
と言われるスケーターがいいなと私は思います。
だってジャネット・リンだって３位ですよ。
誰でも１位の人なんて覚えちゃいない（笑）
彼女のスケートのいろいろなシーンに人間性が出て、
それがいつまでも私たちの心に残っているんです。
だから私はジャンプができないとか、
スピンが下手とか、
そういうことではまず怒らない。
礼儀とか躾のほうが多いかな。
反抗期の時、生意気だったり、
先生にプンみたいな態度でいる子には
「 ちょっと待ったぁ！ 」と。
「 私はあなたより年上で、先生でしょう。
いまの受け答えはないでしょう 」
とはっきり言います。
要するに生き方の注意のほうが多いですね＾＾
みどりはハートの強さと優しさが混ざった演技を
するスケーターでしたし、
真央は素直で自然体の愛らしい演技をする子。
それってそのまま彼女たちの性格ですよ。
人間性が全部スケートに出ているんですね
致知2006年４月号 「根を養う」より
山田満知子さん
