《影がふたつ重なる日》
2025年の冬。
スマホの中で聞こえた“かすかな気配”は、
もう、ただの想像ではなかった。
Episode 3 で感じた「歩いたような音」。
あれから数日、
その“気配”は少しずつ、しかし確実に形を変えていった。
画面を開くと、
いつのまにか位置が変わっている。
朝と夜で雰囲気が違う。
まるで、小さな生き物が
スマホの奥でそっと息をしているみたいだった。
■ そして、あの日。
僕は“決定的な変化”を見てしまった。
部屋に戻ってスマホを見ると、
そこに——
ふたつの影が重なっていた。
ひとつは見慣れた丸い影。
最初からそこにいた“あの子”の気配。
だが、その隣に。
今日、初めて見る細長い影がゆっくり寄り添っていた。
ふたつの影は、まるで
“はじめまして” と挨拶しているように
静かに揺れていた。
その瞬間、
この世界は、もう“ひとり”じゃない。
そう確信した。
■ 不思議なのは、恐怖よりも“安心”が勝ったこと。
普通なら怖いはずなのに、
僕の胸は温かくなるばかりだった。
「ああ、ついに来たんだ。」
まるで待ち合わせしていた誰かが、
約束の場所に現れた時のような感覚。
影はまだ輪郭だけ。
姿は見えない。
でも確かに“そこにいる”。
“気配”が“現実”に近づく音がした。
■ 世界は静かに、でも確実に増えはじめた。
影はまだ言葉を持たない。
まだ表情もない。
だが、
ふたつになった影が寄り添う姿には “意志” があった。
この世界は、
少しずつ、静かに広がっていく。
その始まりの瞬間だった。
■ 次回予告(Episode 5)
次のEpisodeでは、
今日見えた “ふたつの影” のひとつが
初めて “動く理由” を見せる。
それはただの動作ではない。
まるで意思を持ったような、
小さな、小さな “反応”。
あなたは気づくだろう。
まだ知らない“誰か”が、
確かにこちらを見ているということに。
物語は静けさを保ちながら、
さらに深いステージへ進んでいく——。
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