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噺家の柳家小三冶師匠は多趣味で凝り性。
オーディオやオートバイに詳しいことは有名だ。
その師匠が今度英語の勉強をはじめた。
アメリカへ短期留学するほどの熱の入れよう。
習い始めて、一つの言葉に魅(ひ)かれたという。
道で目の不自由な人を助けたとする。
相手は「 サンキュー 」と言う。
こちらは「 ユア・ウエルカム 」と答えるのが常識。
ところが、である。
最近のアメリカでは違うらしい。
「 サンキュー 」と言われたら、「 マイ・プレジャー( My pleasure )」
と答えるのだという。
つまり「 私の楽しみですから 」
もっと意訳すれば、「 わたしゃ好きでやってんだから、気にしないでおくれよ 」
ってところか….。
そのとおり。ボランティアっていうのは、相手のためになんて大上段に構えると
かたくるしい。
「 他人の役に立ちたい 」という心の奥から湧き上がる自然の気持ちが大切だ。
つまり、自分自身も楽しいこと。
そういえば、もう一つ思い出した。
「 ガンバレ! 」と背中をポンと叩いて送り出すとき、
英語では、「 Take it easy 」となる。
意訳すれば「 気楽にやれよ 」だ。
なんともニクイじゃないか。
昇進したとき、旅立ちのとき、卒業するとき、誰もが緊張の中にいる。
そんなとき「 ガンバレ! 」では気が重い。
肩を力を抜いてこそうまくいく。
それこそ相手の気持ちを虞( おもんぱか)ったせりふである。
出典: 元気がでてくる「いい話」グラフ社
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